腹腔鏡下手術 //

◎腹腔鏡下手術とは?

 お腹に数カ所2-12mmの小さな穴を開け,炭酸ガスでお腹を膨らませて,腹腔鏡が映した映像を見ながら行う手術のことです.傷口が小さく,痛みが少ないため,術後の回復が早く低侵襲な手術です.腹腔鏡で病変部を映し,拡大された映像を見ながら手術するので,肉眼では不可能だった精密な手術操作ができ,出血が少ないです.弱点は技術の習得に時間がかかり,拡大されているので全体が見えづらく,直接臓器を触れることができない点です.癒着が強い時,出血が制御できない時,癌が周囲に広がっている時は,途中で開腹手術に移行することがあります.また,術前の検査結果で開腹手術の方が適切と判断された場合は,開腹手術を行います.腹腔鏡下手術は「内視鏡外科手術」とも言いますが,胃カメラや大腸カメラなどを用いて行う「内視鏡治療」とは別の治療です.

◎低侵襲手術

 開腹手術に比べ腹腔鏡下手術は傷が小さく,臓器が直接空気に触れないため,体の負担が少なく低侵襲な手術です.更に低侵襲を目指した手術として,傷の数を減らす「Reduced port surgery」や,傷の大きさを小さくする「Needlescopic surgery」といった方法もあります.更には「単孔式内視鏡手術(Single port surgery)」といって,臍の孔1ヶ所だけで行う手術も行われるようになりました.傷痕が臍で隠れてしまうので,手術をしたかどうかほとんどわからなくなってしまいます.

 単孔式内視鏡手術は整容性の点ではいいのですが,臍から何本も鉗子を入れるため傷が大きくなってしまい,術後の痛みが強くなる傾向があります.例えば,5mmの傷2ヶ所よりも10mmの傷1ヶ所の方が痛みが強くなります.そのため,実際には単孔式内視鏡手術とNeedlescopic surgeryを組み合わせた手術を行っています.3mm程度の孔は痛みがほとんどなく,傷痕もほとんどわからなくなってしまいます.映像を映す腹腔鏡と電気メスなどの器具は5mmですので,それらを最小限の切開で臍から挿入し,必要に応じて3mmの鉗子を追加しています.安全な手術が第一ですので,病状に応じて安全性を確保した上で,これらを組み合わせて,より低侵襲な手術を目指しています.

◎私が行っている主な腹腔鏡下手術

大腸がん,大腸憩室炎,大腸憩室出血 → 腹腔鏡下回盲部切除術,腹腔鏡下結腸右半切除術,腹腔鏡下横行結腸切除術,腹腔鏡下結腸左半切除術,腹腔鏡下S状結腸切除術
直腸がん → 腹腔鏡下直腸高位前方切除術,腹腔鏡下直腸低位前方切除術,腹腔鏡下腹会陰式直腸切断術
胃がん → 腹腔鏡下幽門側胃切除術

胆嚢結石症,急性胆嚢炎,胆嚢腺筋症,胆嚢ポリープ→ 腹腔鏡下胆嚢摘出術,単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術

総胆管結石症 → 腹腔鏡下総胆管結石採石術
急性虫垂炎 → 腹腔鏡下虫垂切除術,単孔式腹腔鏡下虫垂切除術

そけいヘルニア(脱腸) → 腹腔鏡下そけいヘルニア修復術(TAPP法)
大腿ヘルニア → 腹腔鏡下大腿ヘルニア修復術(TAPP法)

閉鎖孔ヘルニア → 腹腔鏡下閉鎖孔ヘルニア修復術(TAPP法)

腹壁瘢痕ヘルニア → 腹腔鏡下腹壁瘢痕ヘルニア修復術(IPOM-Plus法)

臍ヘルニア → 腹腔鏡下臍ヘルニア修復術
腸閉塞 → 腹腔鏡下癒着剥離術,腹腔鏡下小腸部分切除術,腹腔鏡下腸管バイパス術

S状結腸軸捻転 → 腹腔鏡下S状結腸切除術

胃・十二指腸潰瘍穿孔 → 腹腔鏡下穿孔部縫合大網被覆術,腹腔鏡下大網充填術

急性腹症,急性腹膜炎 → 審査腹腔鏡,腹腔鏡下洗浄ドレナージ術

尿膜管遺残症 → 腹腔鏡下尿膜管遺残摘出術

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