鼠径ヘルニア(脱腸)のよくある質問

◎「鼠径ヘルニアはどんな症状でしょうか?」

 立つと太もものつけ根が膨らみ,横になると戻るのが典型的な症状です.大きさはピンポン球から卵ぐらいのことが多いです.立って足のつけ根をみると左右のふくらみに左右差が見られます.大きくなると足のつけ根から陰嚢まで腫れてしまうこともあります.痛みや重い感じの違和感を伴うことがあります.

◎「太もものつけ根が痛みますが,鼠径ヘルニアでしょうか?」

 初期症状として痛みや重い感じだけを自覚することがあります.ただし,膨らみがはっきりしない時は泌尿器科や整形外科の疾患のこともあります.必要に応じて超音波検査,CT検査,MRI検査などを行います.

◎「太もものつけ根に腫瘤(しこり)が触れるのですが,鼠径ヘルニアでしょうか?」

 豆のような腫瘤(しこり)を自覚し,横になっても戻らないことがあります.リンパ節腫大やヌック管水腫,皮膚科疾患(腫瘍や膿瘍)など様々な原因が考えられます.典型的な鼠径ヘルニアの症状でない場合は,超音波検査,CT検査,MRI検査などを行い,詳しい検査が必要になることがあります.

◎「鼠径ヘルニアの原因はなんでしょうか?」

 多くは加齢に伴って腹壁が弱くなり,そこから腸管が脱出してしまうことが原因です.また,立ち仕事が多かったり,腹圧がかかる重いものを持つ仕事も原因の一つに挙げられます.肥満や喫煙も一因と報告されています.

 

◎「鼠径ヘルニアの嵌頓(かんとん)が心配ですが大丈夫でしょうか?」

 腸管が脱出し締め付けられてしまい戻らなくなった状態が嵌頓です.太もものつけ根の膨らみが硬くなり,横になっても押しても戻らなくなってしまった状態です.腸閉塞,腸管壊死,腸管穿孔を起こし命に関わるので,緊急手術が必要になります.嵌頓するリスクは1年間で0.3〜3%程度ですので,それほど心配する必要はありませんが,発症した場合は急を要しますので,すぐに救急外来に受診してください.

◎「鼠径ヘルニアは何科に受診すればいいですか?」

 近くの病院に「鼠径ヘルニア専門外来」があればいいですが,もし無くても,外科(消化器外科)に受診すれば,ほとんどの病院で対応可能です.病院によっては分かりづらいことがあり,外科でも別の分野が専門の先生が担当になってしまうこともあるので,電話で問い合わせてもいいでしょう.

◎「鼠径ヘルニアは自然に治ることはありますか?」

 大人の場合は自然に治ることはありません.腸管が脱出する部位は筋肉がありませんので,筋トレをしても治りません.また,ヘルニアバンドで押さえても,手でおさえているのと同じ状態ですので,治ることはありません.手術以外に治療法はありません.

◎「鼠径ヘルニアは放っておいても大丈夫でしょうか?」

 緊急性はありませんが,徐々に悪化することが多く,自然に治ることはないので,悪化しないうちに手術することをお勧めしています.ただし,症状が軽度の場合はリスクをお話しした上で注意深い経過観察をすることもあります.

 

◎「鼠径ヘルニア手術はどんな麻酔をするのですか?」

 基本的には全身麻酔をして手術をします.完全に寝ている状態ですので,手術中に意識は全くなく,痛みも全くありません.全身麻酔のリスクが高い場合は,その人にあった麻酔法を検討します.

◎「鼠径ヘルニアの手術後は痛みますか?」

 腹腔鏡下手術の場合は,小さい穴だけですので痛みは少なく,手術後は普通に歩けることがほとんどです.しかし,痛みには個人差がありますので,大したことない人もいれば,結構痛くなってしまう人もいます.必要に応じて痛み止めの薬も使い,苦痛を減らせるように管理しています.

 

◎「鼠径ヘルニア手術はどのような術後合併症がありますか?」

 主な合併症として,以下のようなものがあります.症状に応じて適切な対処を行います.

 出血:血腫になったり,紫色の出血痕がみられることがあります.多くは自然に軽快します.
 漿液腫(しょうえきしゅ):元々あった袋(ヘルニア嚢)に水が溜まることがあります.大抵は自然に吸収されますが,大量に溜まった場合は針を刺して抜くこともあります.

 創部感染:傷が化膿し赤く腫れることがあります.抗生剤や傷口を洗浄し治療をします.

 慢性疼痛:従来の手術よりも腹腔鏡手術では痛みが少ないですが,中には痛みが続き,内服などの治療が必要になることがあります.

 ヘルニア再発:一般的には1-5%程度の再発が報告されています.再発を少しでも減らすため約10×15cmの大きいメッシュで補強を行っています.

 

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