大腸がん・直腸がん //

◎大腸がん・直腸がんとは?

 大腸や直腸に発生するがんのことで,50歳以上に多くみられる病気です.大腸とは小腸に続く約1.5mの管状の臓器です.主に水分を吸収して固形の便にする役割をしています.そして,直腸,肛門へと続き,便が排出されます.年間約13万人が大腸がん・直腸がんと診断され,年々増加傾向です.腸の内側(粘膜)からがんは発生し,初期症状はありません.大きくなると便秘,下痢,血便,腹痛,体重減少,便が細くなるなどの症状が出ることがあります.また,大腸がん検診の便潜血検査で陽性となり,大腸内視鏡検査を受けてがんが見つかることもあります.

◎どんな検査をするの?

 大腸内視鏡検査でがんが疑われると,生検(組織を採取)し顕微鏡検査でがん細胞があるかどうか確認します.大腸がん,直腸がんと診断されると消化器外科に紹介されます.そして,がんの広がりを確認するため胸腹部造影CT検査,腹部超音波検査などを行います.がんの部位や深さを調べるためには注腸検査を行います.また,手術リスクの評価のため,採血,心電図,心臓超音波検査,肺機能検査などを行います.これらの結果でがんのステージ(進行度)を予測し,治療方針を立てます.

◎ステージ別の治療方針

 「大腸癌治療ガイドライン」にエビデンスに基づく最新の治療方針が示されています.概略を説明しますと,「ステージ0〜1の一部」は表面の浅い部分にがんが限局している場合で,大腸内視鏡による切除を行います.「ステージ1の一部〜ステージ2」は腸の深い部分までがんが浸潤している場合で,手術による切除を行います.「ステージ3」はリンパ節転移を伴う場合で,手術による切除を行います.「ステージ4」は遠隔転移(主に肝臓や肺,腹膜播種など)を伴う場合で,手術による切除または化学療法(抗がん剤治療),対症療法(緩和ケア)などを行います.

◎どんな手術をするの?

 手術の2日前に入院し準備します.手術は基本的には腫瘍から10cm離して腸を切り,所属リンパ節を郭清します.切った腸は自動吻合器という器械でつなぎ合わせます.ほとんどの場合で腹腔鏡下手術が可能ですが,腹腔内に高度な癒着がある場合,がんが非常に大きい場合,他臓器への浸潤がある場合は開腹手術を選択することもあります.手術の翌日には自由に歩くことができ,飲水が可能になります.手術の翌日か翌々日には食事が再開します.術後1週間から10日ぐらいで退院となります.

◎私の手術の特徴

 基本的には腹腔鏡下手術を第一選択で行っています.3DCT検査で血管の1本1本まで解剖を把握し,どこをどう切るのか綿密に計画を立てています.そして,がんの手術で最も大切なことは,機能を温存した上で取りきることです.がんの進行にあわせて適切な範囲を摘出するように心がけています.腹腔鏡下手術では薄い膜1枚の違いもよく見えますので,それを活かした丁寧な剥離操作を行っています.

◎術後のフォロー

 がんは手術後のフォローが大切です.退院して1〜2週間後に外来受診します.退院後の体調は問題ないか,傷口は問題ないかを確認し,切除したがんの病理(顕微鏡)検査結果を伝えます.そこでステージが最終決定します.「ステージ0〜2」では基本的に3ヶ月毎の経過観察になります.「ステージ3」では術後補助化学療法が推奨されています.「ステージ4」では病状に合わせて化学療法(抗がん剤治療)や対症療法(緩和ケア)などを行います.5年間フォローし再発がなければ,根治(治癒)と判断し通院は終了となります.

◎がんの再発

 手術でがんを全て取りきっても一定の確率で再発が起こります.大腸がんの5年生存率は「ステージ1」で約92%,「ステージ2」で約85%,「ステージ3a」で約80%,「ステージ3b」で約64%,「ステージ4」で約20%です.リンパ節転移,肝転移,肺転移,腹膜播種,吻合部再発,局所再発などがあり,CT検査や内視鏡などで再発がないか定期的に確認します.

◎ガイドライン

 「大腸癌治療ガイドライン医師用2016年版 金原出版」が大腸癌研究会より出版されています.個々の治療方法は病状によって異なることもありますが,基本的にはガイドラインに沿って治療を行っています.

 一般向けの冊子としては,国立がん研究センターから「大腸がん」や,キャンサーネットジャパンから「もっと知ってほしい大腸がんのこと」がダウンロードできます.

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