胆嚢結石症,急性胆嚢炎,胆嚢腺筋症,慢性胆嚢炎,胆嚢ポリープ //

◎胆嚢結石症,急性胆嚢炎とは?

 胆汁という消化液が肝臓で作られ,胆管を通り十二指腸に分泌され,脂肪を消化します.胆管の途中に胆嚢があり,胆汁を濃縮貯蔵しておくための袋の役割をしています.その胆嚢に結石ができた状態が「胆嚢結石症(胆石)」です.検診でも症状のない胆石の人が数%発見されます.無症状の胆石は90%以上が無症状のままですので,基本的には経過観察となります.ただし,結石が充満している時や,癌の疑いのある壁肥厚がある時は手術も含めて相談となります.胆石があると,食後に右季肋部痛(右上腹部痛),右背部や右肩への放散痛などの症状が出ることがあり,症状がある場合は手術が勧められています.

 また,胆嚢に胆汁がうっ滞し細菌感染を起こすと,発熱,右季肋部痛,悪心(吐き気),嘔吐などが出現します.「急性胆嚢炎」と診断され,入院加療が必要になります.発症から72時間(3日)以内で手術可能な病状であれば,「腹腔鏡下胆嚢摘出術」を行います.時間が経過していたり重症な場合は,抗生剤治療と必要に応じて経皮経肝的胆嚢ドレナージ術(PTGBD)を行い,炎症が治まった時点で,「腹腔鏡下胆嚢摘出術」を行います.

◎慢性胆嚢炎とは?

 急性胆嚢炎を繰り返した状態です.胆嚢粘膜の萎縮や胆嚢壁の線維化がみられます.基本的には手術になります.

◎胆嚢腺筋症とは?

 Rokitansky-Aschoff sinus(RAS)の増殖によって,胆嚢壁が肥厚した状態です.基本的には経過観察ですが,腹痛や吐き気,腹部膨満感などの症状があったり,胆石や胆嚢炎を合併している場合,胆嚢癌の可能性が否定できない場合は手術になることがあります.

◎胆嚢ポリープとは?

 胆嚢ポリープとは胆嚢内腔にできた隆起性病変のことです.大抵は良性のコレステロールポリープであり,経過観察します.しかし,広基性のものや10mmを超えるものは悪性の可能性も否定できないため,摘出することが勧められています.

◎腹腔鏡下胆嚢摘出術とは?

 全身麻酔下にお腹に4ヶ所穴を開け,腹腔鏡という5mmのスコープを用いて胆嚢(下図の矢印)を摘出します.開腹手術に比べると,傷が小さく,回復が早いのが利点です.胆嚢を体外に取り出すため,臍の傷は約2cmになります.炎症が高度の場合は,途中で開腹手術に移行することがあります.手術時間は約1時間,翌日から食事を開始し,術後2日目に退院となります.退院後は日常生活に制限はありませんが,脂っこいものはしばらく控えた方がいいです.吸収糸で縫っていますので,抜糸は不要です.

◎胆嚢を取っても大丈夫?

 胆嚢は胆汁を濃縮貯蔵しておくための臓器です.胆嚢を摘出しても,胆汁は今まで通りに分泌されますので,ほとんど影響はありません.手術直後は脂っこいものを食べると軟便や下痢をする人がいますので,少し控えめにした方がいいです.

腹腔鏡下胆嚢摘出術の合併症は

 術中合併症として,胆管損傷,出血,他臓器損傷などがあります.術後合併症として,後出血,胆汁漏,創感染,肩痛,皮下気腫などがあります.

◎私の手術の特徴

 多くの外科医がこの手術から腹腔鏡下手術の修練を始めます.そのため大抵の病院で行うことができ,最も普及している腹腔鏡下手術です.難易度としては易しいことが多いですが,炎症が強い場合は一転して高難度となり,周囲に重要臓器があり合併症にも十分な注意が必要です.そのため,合併症を起こさない慎重な胆嚢管処理,層を意識した肝臓からの丁寧な胆嚢剥離を心がけています.胆嚢管造影やC-tubeの留置,総胆管結石の同時手術,総胆管損傷時の縫合修復も腹腔鏡下に行います.

​ また単孔式内視鏡手術といって傷が臍の1ヶ所のみで行う腹腔鏡下手術も行っており,傷がほとんどわからないように手術することも可能です.更に2-3mmの細径鉗子を用いた低侵襲手術も行っており,単孔式内視鏡手術と組み合わせることにより従来の単孔式内視鏡手術よりも痛みが少なくなります.病状に応じて安全性を第一に,より低侵襲な手術を行っています.

◎ガイドライン

 「急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン2013 医学図書出版」が急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン改訂出版委員会等から,「胆石症診療ガイドライン2016 南江堂」が日本消化器病学会から出版されています.個々の治療方法は病状によって異なることもありますが,基本的にはガイドラインに沿って治療を行っています.

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