がん検診 //

◎がんの統計

 「がんの統計2016年版」によると,2人に1人が一生のうちにがんと診断されます.1年間でがんにかかる人(罹患数)は約101万人で,男性が約58万人,女性が約43万人です.部位別では,大腸がんが約15万人,胃がんが約13万人,肺がんが13万人,乳がんが約9万人の順に多いです.また,がんは死因の第1位で,総死亡の約3割を占めています.

 そこで,がんによる死亡を減らすために,がん検診が行われています.「厚生労働省の指針」では,消化器がんについては,胃がん検診,大腸がん検診を推進していますが,受診率は胃がん検診で40%,大腸がん検診で38%に留まっているのが現状です.

◎病気の予防

 病気の予防は以下の3つに分けられ,がん検診は二次予防になります.​

一次予防:病気の予防.生活習慣を改善し健康増進をはかることや,予防接種をして病気を予防すること.

二次予防:早期発見・早期治療.がんなどの病気を早期発見することや,早期に治療を行い重症化を防ぐこと.

三次予防:リハビリテーション.リハビリテーションを行い機能回復をはかることや,再発を防ぐこと.

◎がん検診を受ける前に

 がん検診はメリットが統計学的に証明されているものを,各自治体が実施しています.しかし,デメリットもあるため注意が必要です.

 「メリット」は早期発見し早期治療することで,がんによる死亡を減らせることです.がんが早期であれば,より軽い治療ですみ,根治できる可能性が高くなります.

 「デメリット」は,既にがんがあってもがん検診で100%見つかるわけではないことです.逆にがんがなくてもがんの可能性が否定できないこともあり,更に検査が必要となる可能性があります.また,検査では偶発症を起こすことがあり,例えば胃の内視鏡検査では稀ですが出血や穿孔などのリスクがあります.

 また,検診は基本的に症状のない人を対象にして,がんの可能性がある人を探す検査です.症状がある時の検査とは異なりますので,その時は検診ではなく,早く医療機関に受診しましょう.

◎胃がん検診

 「厚生労働省の指針」では50歳以上を対象に,2年に1回,問診に加え,胃部X線または胃内視鏡検査のいずれかを推進しています.

<胃部X線検査>推奨グレードB

 バリウムと発泡剤を飲み,X線で胃を観察する検査です.感度は80%程度ですので,つまり,胃がんがある場合に異常ありと診断されるのは80%で,20%は異常なしと診断されることになります.

<胃内視鏡検査>推奨グレードB

 内視鏡で直接胃を観察する検査です.

<ペプシノゲン検査,ヘリコバクターピロリ抗体検査(ABC検診)>推奨グレードI

 血液検査で胃粘膜の萎縮度とヘリコバクターピロリ菌に感染しているかどうかを調べ,胃がんの発生リスクをみる検査です.現時点では効果が不明のため,「厚生労働省の指針」では推進されていません.

◎大腸がん検診

 「厚生労働省の指針」では40歳以上を対象に,年1回,問診および便潜血検査を推進しています.

<便潜血検査>推奨グレードA

 大腸がんや大腸ポリープなどがあると出血することがあり,その血液を便から検出する検査です.感度は25-80%程度です.

<大腸内視鏡検査>推奨グレードC

 内視鏡で大腸全てを観察する検査です.感度は95%程度とかなり高いですが,検査は簡便ではなく,コストもかかり,偶発症のリスクもあるため,「厚生労働省の指針」では推進されていません.便潜血検査が陽性だった人の精密検査として行われることが多いです.

◎推奨グレードとは?

 A:利益が不利益を確実に上回る.住民検診・人間ドックで推奨する.

 B:利益が不利益を上回るが差は小さい.住民検診・人間ドックで推奨する.

 C:利益はあるが,不利益とほぼ同等か差が極めて小さい.住民検診は推奨しない.個別の人間ドックは不利益を理解した上で行うことを妨げない.

 D:利益がないため推奨しない.

 I:現時点で証拠が不十分のため判断できない.

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