急性虫垂炎(盲腸)

◎急性虫垂炎(盲腸)とは?

 「急性虫垂炎」とは,虫垂に細菌が感染して炎症を起こし腫れてしまう病気で,俗に「盲腸」と言います.生涯発生率は7-8%で,頻度の高い腹部救急疾患です.虫垂は大腸の一部で,右下腹部にある約5cmの腸管です.症状は37度の微熱,吐き気,腹痛で,最初は心窩部から臍付近に痛みがあり,徐々に右下腹部に痛みが移っていきます.腹膜炎を起こすと,歩いた時にお腹に痛みが響くことがあります.放置すると膿瘍を形成したり,虫垂が腐って(壊疽)穴があき(穿孔),便がお腹の中(腹腔内)に漏れてしまいます.お腹全体に広がれば急性汎発性腹膜炎となり,敗血症性ショック,多臓器不全となり,命に関わります.死亡率は約0.2%です.

◎急性虫垂炎以外の病気の可能性は?

 急性虫垂炎と鑑別が必要な病気としては,約1%ですが虫垂腫瘍(癌,カルチノイド,粘液性腫瘍など)の可能性があります.また,急性腸炎,大腸憩室炎,メッケル憩室炎,炎症性腸疾患,腸管穿孔,大腸がん,尿管結石,産婦人科疾患など様々な病気の可能性があります.

◎急性虫垂炎の治療法は?

 急性虫垂炎の治療は腫れた虫垂を手術で切除し,抗生剤で細菌をやっつけるのが基本です.手術は腹腔鏡下に虫垂(下図の白矢印)を同定した上で,虫垂間膜を処理し,虫垂の根部(下図の黒矢印)を糸で結紮し,虫垂を切除します.開腹手術と比較し腹腔鏡下手術は.傷の感染が少なく,痛みが少なく,入院期間が短くなります.炎症がひどくて虫垂根部で切離できない時は周囲の腸も一緒に切除し,腸同士を吻合することもあります.発症から時間が経ち,既に周囲に膿瘍を作ってしまった状態(膿瘍形成性虫垂炎)は,抗生剤や穿刺ドレナージで感染をコントロールした後,時間をおいて手術をすることもあります.

◎急性虫垂炎は薬で散らすことができますか?

 急性虫垂炎の基本的な治療は手術です.しかし,入院して抗生剤のみで治療しても,90%は治すことができるので,薬(抗生剤)で散らす(治す)ことは大抵可能と言えます.ただし,手術をしない場合は再発のリスク(治療後1年以内に約30%),悪化するリスク(入院中に悪化し手術となるのは約10%),腫瘍のリスクがあるので注意が必要です.もし薬で散らした場合は,後日予定手術として日帰り手術をすることで,再発と腫瘍のリスクを回避ことも可能です.

◎急性虫垂炎手術の合併症は?

 傷の感染,腹腔内膿瘍,出血,他臓器損傷,腸閉塞,腹壁瘢痕ヘルニアなどがあります.

◎私の急性虫垂炎手術の特徴

 基本的に腹腔鏡下手術で虫垂を切除します.3mmの細径鉗子を用いた低侵襲手術も行っています.手術時間は約20-60分,翌日から食事を再開し,術後2日目に退院できます.穿孔し腹膜炎を起こしている場合は,3-5日間の点滴抗生剤治療が必要ですので,1週間程度の入院が必要となることが多いです.また,薬で散らして治癒した後であれば,日帰り手術で虫垂切除することも可能です.

◎虫垂炎手術の動画

 日帰りで実際に行った虫垂手術の動画を公開しています.刺激が強い動画ですので,苦手な方は閲覧にご注意ください.

◎急性虫垂炎のガイドライン

 現時点ではガイドラインはありません.急性虫垂炎と診断されたら,早期に手術することをお勧めします.

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